■「情報通信白書(平成24年)」解説三部作
 1. やっぱり、IT後進国・日本(情報通信白書から)
 2. ネット普及率と学校での利用率の国際比較
 3. 双方向性を拒む「Web1.0国家・日本」


「情報通信白書」というものがある。「情報通信に関する現状報告」とも呼ばれるもので、総務省が昭和48年から毎年作成している資料だ。総務省のホームページに掲載されるので、誰でもが閲覧できる。というわけで、7月発表の今年で40回目となる情報通信白書(平成24年)を見ていくことにする。日本が本当に「IT後進国」なのかどうかを占うものにもなる。少しマジメにいこう!

まず紹介するのは「情報化投資進展度指数の推移」というデータ。「情報通信白書」の中の「ICTが成長に与える効果に関する調査研究」という報告書にまとめられているものだ。ICTとは「Information and Communication Technology」の略で、情報・通信に関連する技術一般の総称。「C」が入って入るが、概ねITのことと考えてよいだろう。そのICT分野に関わる国内投資を、アメリカ、イギリス、オーストラリア、ドイツと比較したのが「情報化投資進展度指数の推移」というデータだ。2000年時点でのアメリカの情報化投資を「100」として、それぞれを指数化。時系列でまとめたのが、以下のグラフ及び表である。


情報化投資進展度指数の推移_グラフ


情報化投資進展度指数の推移_表

表はクリックで拡大可。出典:総務省「ICTが成長に与える効果に関する調査研究」(平成24年)


なんと申しましょうか……、まず、最低限の説明をして、気を取り直すことにしたい。ドイツは東西統一後の1991年からの数値。日本は「EU-KLEMSのデータ制約」とかで、2006年までしか掲載されていない。──だが、2007年以降の数値があったとしても、体制には影響ないだろうという感じがアリアリ。アメリカとイギリス、それにドイツも、ジェット機並みに高度を上げている。オーストラリアに至っては宇宙ロケット並みだ。かたや日本は、紙飛行機並み の低空飛行を続けている。悲しくなるほどダメダメではないか。

1985年を見てみると、この時点でさえ、日本はイギリスとの比較でダブルスコア以上の差があり、アメリカとオーストラリアにはトリプルスコア以上の差がある。2006年に至っては、イギリスとアメリカに7〜8倍、オーストラリアには10倍以上引き離されている。「19.2」という日本の直近の数値は、1985年のアメリカよりも低いものだ。

「IT後進国・日本」という言葉を、さんざん使ってはきたものの、お国が発表するこのような調査結果を見たら、少し頭が痛くなってきた。

■ICT国際指標における日本のポジション

続いては、ITC関連の各種調査機関が公表している国際指標を見てみる。4つの機関による6種類の指標において、日本のポジションをまとめたのが下記の「主要ICT国際指標のランキング推移」というグラフ。全27カ国中、日本が何位であるかを年次で追っている。その下の「主要ICT国際指標における日本の順位・表1」と併せてご覧いただきたい。勿論これらは情報通信白書(平成24年)に掲載されているデータだ。

主要ICT国際指標のランキング推移

主要ITC国際指標における日本の順位・表1

対象国:日本、韓国、中国、シンガポール、イタリア、カナダ、オーストリア、オランダ、フィンランド、スイス、オー ストラリア、フランス、米国、ニュージーランド、ポルトガル、英国、ドイツ、スペイン、ベルギー、デンマーク、スウェーデン、インド、ブラ ジル、ロシア、南アフリカ、ノルウェー、マレーシアの27ヶ国。


こちらも残念ながら、まるでダメっぽいではないか。この中で最も良いのが2007年の「IT産業競争力指標」。日本はこの時、2位にランクされているが、それも2011年には16位まで後退している。2010年の「国際競争力指数」で、日本は28位だ。27カ国でやってるのに、28位とはこれいかに?だが、元データからは探れなかった(26位に2カ国が並んだための28位か?)。いずれにしろ、ビリということだろう。翌2011年に回復したとは言え、この指標では20位代が続いている。日本は、直近の順位でベスト10に入るものさえひとつもないという有様である。オリンピックでメダルが沢山獲れた分、少しこっちに回してもらった方がいいんじゃないだろうか?

下の「主要ITC国際指標における日本の順位・表2」は、各指標における日本の直近順位と、主要6ヶ国(日本、米国、英国、フランス、ドイツ、韓国)の中での日本の順位を表にしたものである。6ヶ国の方を見ると、上位3位に食い込んでいるのが、かろうじて1つ。ビリが2つもある。27ヶ国中の順位を平均すると18位くらいになる。これは、後ろの集団ということだ。もはや、無理して先進6ヶ国で競うレベルではなだろう。

各IT系調査における日本の順位


当ブログの序文となる「IT後進国・日本」で、当ブログなりに「IT後進国・日本」を語った。それは、ハードウェア、ソフトウェア及びサービス、政党活動及び法整備、以上の3点を概観してのものであった。またそれは、かつて「IT先進国」「技術立国」と言われていたことの裏返しでもあった。

今回、はじめて「情報通信白書」の内容を記事にしてみたが、そこには経済・産業分野において、明らかに立ち後れてしまった国内ITの惨状があった。ここまでとは予想していない部分もあった。この白書については、また稿をあらためて見ていきたいと思う。


「情報通信白書(平成24年)」解説

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